8月15日 人魚
朝、滝の裏に人魚を見つけました。
善三美術館から2km走ると鍋ヶ滝
物語っぽく3人称で話を進めようと思いましたが、やめます。
自分です
朝早くから人が大勢いて、ただただ恥ずかしかったです。撮影をしてくれた山下さんも恥ずかしかったと思います。何やってんだ?
人魚は数年前にもなったことがあるのですが、ふたたび登場させました。
「たずねウオ 人魚預かってます」
あちらとこちらの境界線が曖昧になる、お盆に紛れ込んだ人魚です。
小国町が気に入った人魚は、昨日の夏祭りで尾ひれをうちわと交換してしまって帰れなくなりました。
お盆が終わる今日中に戻らなくてはいけません。帰る方法を考えてあげてください。
坂本善三美術館
人魚の帰り道を募集して、使えるアイディアはそのまま企画書に流用しようという我ながら賢いプランでした。
おもしろかったのは「Yahooルート検索で」という回答。使えません。
しかしわたしが人魚になって本当にやりたかったのは「帰り道募集」ではなく、これでしたあー。
女体盛りじゃなくて
魚体盛り
いつもお世話になっているスタッフの皆さんやお客さんに、小国のおいしいごはんをふるまいたかったんです。人魚のあこがれ山の幸。
わいわい度数の低い写真
野菜を焼くための七輪まで用意して、うちわであおぎたいがためにストーリーにお祭りの設定を入れて、胸のホタテの貝殻は北海道の親戚からわざわざ取り寄せて…
尾をぱたぱた
そういえば、お盆っぽく野菜の馬も置きたかったのをすっかり忘れていました。
野菜を焼くことで、いただく前にたべものの野辺送りのような敬虔な雰囲気も出せないかなとかいろいろ考えていたのですが、七輪に火をつける前に「暑い。うちわあるなら普通にあおげよ。」な空気を感じて、納涼人魚になりました。アイスもあるよ!
脇腹にしたたるぶどうアイスの痕跡
そして、善三美術館を訪れる客層を鑑み、魚体盛りの食物に手をのばしてもらうのはハードルが高すぎるということで意見が一致しました。ホタテのお皿にしか乗せない!焼くから食中毒問題もクリア!とか言ってあがいてもみたのですが、わたしもお客さんの立場なら、食べるどころか近寄らないです。
古典だとさいご泡になって消えてしまう人魚も、現代では「一泡吹かせてやりますよ!」と意気込んでいるような気がして、ささやかな抵抗。町内のおねえさんが折よく差し入れてくださったもぎたてブルーベリーを胸のお皿に乗せて、お客さんにも食べてもらいました風の写真をとりました〜。
肉の厚みとずず黒さが生気を感じさせない一枚。探し求めた金髪のかつらは製材所のおかあさんからお借りできました。カッと見開いた瞳に、人魚姫の、自らの不遇な生涯に対する何か強い怨念が伺えるようですが、ファンキーな縮れ毛の巨大な図体は、人魚というよりも感電死したトドでした。
帰り道を教えてください! あんなに熱心に頼んでいた人魚は閉館とともに普通に走っていきました。
足は2本あれば走れる
このあと雷雨に。
落雷の一瞬の停電で山下さんのパソコンが落ち、書きかけのコメントがすべて消えてしまったそうです。ほんとかな。わたしは自然災害を利用して「完成間近だった作品がなくなりましたー!」とごまかすことがよくあります。
コメント待ってます。