くルンバ

f:id:sakamotozenzo_new:20130821194508j:plainルンバ。

友人の麻生さんが送ってくれたたくさんのアイディアの内の一つです。

『くるみルンバ。はやりの自動掃除機みたいに、道場内をひたすら雑巾がけする。雑巾にカーボン紙を内蔵しといたら手形が残るかな。ルンバの音楽をかけるとわかりやすいかも。』

わたしはルンバを見たことがなかったのでいまいちイメージがわかなかったのですが、道場主である山下さんたっての強い希望で採用されました。道場主の願いは「床をきれいにせよ」という一念のみだったようで、手形を残すくだりは「よくわかんない」とばっさり。

f:id:sakamotozenzo_new:20130821200847j:plain私利私欲私利私欲私利私欲

 

巨大ルンバの制作。

f:id:sakamotozenzo_new:20130821193943j:plain+zen。素材は板段ボールとクラフト紙

f:id:sakamotozenzo_new:20130821194041j:plain朝、ラジオの取材を受けながら

f:id:sakamotozenzo_new:20130821195818j:plain水色のモップを振って愛嬌も振りまいていたら、シュールですね! と言われました。

 

本物のルンバをひきつれて掃除するはずでしたが、お借りしたのが「一年以上ほったらかし」というネグレクトルンバだったせいか、ただ一度気まぐれに動いたっきりエラーを連発され、結局わたしの単独行動になりました。

f:id:sakamotozenzo_new:20130821201457j:plain段ボールのつるつるが背中を滑るので、内部の取っ手をつかんでバランスをとります。

f:id:sakamotozenzo_new:20130821195240j:plain昨日いただいた鱒寿司の蓋が取っ手にぴったり。

高価な鱒寿司がエネルギー源という燃費の悪い人動掃除機です。

 

f:id:sakamotozenzo_new:20130821202112j:plain鱒寿司パワーで廊下も突進。

f:id:sakamotozenzo_new:20130821204222j:plainこの先の本館にはアタックできず。

f:id:sakamotozenzo_new:20130821204506j:plain身を震わせて悔しがりました。

 

f:id:sakamotozenzo_new:20130821205423j:plainいらっしゃいませー

日本全国のどのゆるキャラよりゆるい着ぐるみです。ウィーンウィーン

f:id:sakamotozenzo_new:20130821205529j:plainきゃっきゃ! きゃっきゃ!

f:id:sakamotozenzo_new:20130821205553j:plain中身が気になるよね。バランスとりながら進みながらウィーンウィーンって言いながらモップ振るの大変なんだよ。

子どもたちにルンバに入りたいと懇願されたので、さっさと城を明け渡しました。しぶしぶといった風情を装うのに苦心しました。「わたしは〜ほんとは〜掃除したいんですけど〜、子どもがせがむから〜」と苦っぽい顔を山下さんに見せて、しめしめ。大きな顔でさぼりました。

f:id:sakamotozenzo_new:20130821202459j:plainルンバ! BGMなしで踊る彼ら

f:id:sakamotozenzo_new:20130821202519j:plainきゃっきゃ

f:id:sakamotozenzo_new:20130821202542j:plainきゃっきゃ

f:id:sakamotozenzo_new:20130821202634j:plainきゃっきゃ

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f:id:sakamotozenzo_new:20130821202431j:plainきゃっきゃ

 

わ、わたしはこんなに楽しめない…。

きゃっきゃきゃっきゃはしゃぎ通す子どもたちのパワーに気圧され、再びルンバに戻る自信をなくしました。あんなふうにルンバを愛せる人でなくっちゃ、ルンバに入る資格なんてない! ルンバの幸せを真剣に考えた上での別れでしたが、結果として新たなネグレクトルンバを生むことになってしまいました。

………ていうか…ルンバはこの世に必要なの……?

 

 

---本日の学芸員赤ペン---------

 

美術館をきれいにするのは私利ではないし、なるだけすみずみまで掃除して欲しいというのも、「美術館を」であって、私欲ではありません。

 

さて、期待の「くルンバ」。麻生さんのアイディアが届いた時点で私の頭には、黙々と掃除し続ける巨大なルンバが館内を静かにうろうろしている図が浮かびました。おもしろい!やって欲しい!

 

そして実行されることになったくルンバは、造形は+zenによる繊細なもので、実際にくるみちゃんが中に入って、しなる傘の骨を芯にしたモップ(クイックル的な)をパタパタする姿は愛らしくもこっけいで、何ともいえないおかしみを誘うものでした。通れない通路に引っかかったり、段差に落ちそうになったりする姿は、ルンバユーザーたちがマイルンバに名前をつけてかわいがっている気持ちがよくわかるかわいさでしたね。

ちっとも掃除できてないじゃん!というあたりも本家ルンバも真っ青という働きっぷりでした。

 

しかし何だろう、このもうひとつ盛り上がりきれない気持ちは。

 

一つは、善三美術館のスペースの問題。どこか広大なロビーを持つ美術館で、例えばルンバを正しい縮尺で拡大し、来館者がいようといまいと広い空間を1日中静かに掃除し続ける・・・とかだったらもっとおもしろかったのかも。善三美術館ではあまりに稼動範囲が狭すぎた。ちょっとうろうろするぐらいのスペースしか提供できなかった・・・。

 

そしてもう一つは、本物のルンバが動いたときのほうが盛り上がっちゃったこと・・・かなあ。ルンバの動きを実際に目にしたことのなかった私たちにはルンバは新鮮だったし、「ルンバになる」という点ではルンバにはかなわない。

となるとやはり、「ルンバになる」ということよりも「一日中掃除し続ける」という方に重点が置かれるべきだったのかもしれない。ご家族のお留守のときに黙々とお掃除を引き受けるルンバのように。

そしてそれを表現するにはあまりにスペースが狭すぎた。

 

何か日常生活が淡々と行われている脇で「くルンバ」が黙々と掃除するっていうのがいいのかもな。そうなるとやはり、広大なロビーを持つホワイトキューブじゃないでしょうか。

そういう館に心当たりの方はご一報ください。

もしくは体育館か!?目指せ武道館なのか!?

 

くるみちゃんはどう思います?

 

 

坂本善三美術館 学芸員 山下弘子